Rd.3 スポーツランドSUGO

日程 2017.05.13 , 05.14
サーキット スポーツランドSUGO (宮城)
ライダー #12 津田 拓也 / #50 濱原 颯道
予選 3位
8位
本戦 10位
4位

全日本ロードレース第3戦「SUGO SUPERBIKE 120miles ENDURANCE RACE」が宮城県:スポーツランドSUGOで開催された。今大会も120マイル(約194km)のセミ耐久レースとなる。

今シーズン、待望の新型GSX-R1000 L7を投入、前戦鈴鹿でエース津田拓也が2位表彰台を獲得、若手育成で抜擢した濱原颯道がデビュー戦で6位入賞したヨシムラスズキMOTULレーシングは、さらなる高みを目指してSUGO入りした。

津田は今大会の一週間前にスズキのMotoGP世界グランプリ参戦チーム「Team SUZUKI ECSTAR」のアレックス・リンスの代役としてスペイングランプリにスポット参戦して帰国したばかり。MotoGPマシンのテストは幾度となく行っているが実戦経験は今回が初。その体験を活かすべく時差に悩みながらもSUGO入りした。

SUGOは事前テストが無かったため木曜日に特別スポーツ走行が行われた。新型マシンにおけるSUGOのデータは無いので出来るだけ多くのデータを収集したいところだったが、この日は雨が降ったり止んだりの生憎の天候。津田は1分31秒055で総合10番手、濱原は1分31秒877で総合12番手につける。

翌金曜日のART合同走行は、朝から陽が差す好天。津田は1本目1分28秒975で7番手、濱原は1本目1分29秒242で9番手につける。2本目の走行は60分間で行われ、津田は30周、濱原は27周と精力的に走り込んでマシンの感触を掴む。津田は2本目1分27秒590と27秒台に入れて総合2番手につけた。濱原は2本目1分28秒477で総合6番手につける。

土曜日の公式予選。
この日は朝から冷たい雨。J-GP3クラスの公式予選途中から雨脚が強くなり、強風も吹いてくる。J-GP2クラスの公式予選は1周目に濃霧のため赤旗中断。その後も強い雨と強風、霧が立ちこめ、天候の回復が見込めなかったのでJ-GP3クラス以外の全てのクラスの予選は日曜日朝に延期された。

翌日曜日も朝から雨。時折明るくなりこのまま止むのか?と思わせるが結局一日中降り続いた。
朝8時55分~9時25分の30分間で行われた公式予選。
このレースウィーク、ウェットコンディションでの走行は初めてなので精力的に走り込み、最後のタイムアタックで津田が1分’38秒019で3番グリッド、濱原が1分39秒349で8番グリッドを獲得した。
午後1時30分、ルマン式スタートで52周の長丁場の決勝レースがスタートした。絶妙なスタートを切った津田は2番手で第1コーナーに進入する。オープニングラップは、津田3番手、濱原8番手で通過する。その後津田は野左根航汰選手(ヤマハ)、浦本修充選手(スズキ)にかわされ5番手を走行、濱原はひとつ順位を上げて7番手を走行する。津田と濱原が山口辰也選手(ホンダ)を挟んで5番手争いを展開する。4周目に1分41秒台から5周目には1分40秒台にペースを上げ、7周目には39秒台に入れる。その直後山口選手がSPアウトコーナーで転倒したため、津田と濱原がランデブー走行を行う。濱原は9周目に1分39秒199のベストタイム、津田も39秒台で走行を続ける。
17周目、津田はシールドが曇ってしまい急遽ピットインする。しかしその周に3コーナー手前で転倒したマシンがコース上に残ったためセーフティーカーが入ってしまう。ピット作業を終えてコース復帰を図るにもピットレーン出口のシグナルは赤。津田はセーフティーカー解除されるまでに約2周をロスしてしまい、21番手でコース復帰する。ピットアウトの後は1分39秒台を連発、33周目には1分38秒185のベストタイムをたたき出し、21番手まで下がった順位をみるみるうちに上げていく。30周目に15番手、37周目に12番手まで追い上げ、10位でチェッカーを受けた。
濱原は序盤、津田に続いて5番手の走行を続けていたがペースが上がらなかった津田をかわして4番手を走行、28周目にピットインする。ここでチームはタイヤ交換をせず給油のみの作戦に出た。濱原は12秒のピットストップでコースに復帰、31周目に3位まで順位を上げ表彰台圏内を走行する。その後も安定して1分40秒~41秒台のラップタイムで周回するも50周目に渡辺選手にかわされ4位でチェッカーを受ける。

新型GSX-R1000 L7を投入して初めての本格的なウェットコンディションでの走行、津田はセーフティーカーが入るタイミングの不運があったがレースラップタイムでは上位争いができる事を確認できた。異例の抜擢となった新人濱原も開幕戦6位、続く第2戦4位、と上々の活躍をみせている。エース津田と新人濱原の二人のライダーでヨシムラスズキMOTULレーシングは更なる高みを目指して次戦のもてぎに臨む。

津田拓也 選手コメント

ドライコンディションでのラップタイム、そしてウェットコンディションでのレースタイムをみても上位争いができるポテンシャルを持っていることはわかりました。決勝レースでは高橋巧選手には追いつけなかったと思うのですが、ラップタイムを見る限り野左根選手とは闘えたと思います。しかし、ピットインしている間のセーフティーカー導入でピットロード出口で1周待たされたことで全てが終わりました。
今回チームがマシンを良い状態に仕上げてくれてマシン的なトラブルはありませんでした。金曜日、ドライコンディションでの走行ではトップとの差はほとんど無かったので決勝レースが楽しみだったのですが残念です。但し、新型GSX-R1000 L7のポテンシャルを全部引き出すにまでは至っていないので、まだまだ詰める部分は多いです。我々が目指しているのはチャンピオンですので、そこに向けてさらに努力していきたいと思います。

濱原颯道 選手コメント

ドライだったら6位以内、雨だったらシングルフィニッシュを目標にしていました。自分は雨が苦手なので(土曜・日曜日が雨の天気予報を見て)ドライの金曜日のART合同走行では27秒台を狙って走りました。結果的に28秒6の6番手でしたが、27秒台は出ると思うのでドライのフィーリングはすごく良かったです。
新型GSX-R1000 L7で雨の走行は初体験、ブリヂストンのレインタイヤも初でした。前を走る人のペースでいけるなら自分もいける、だけど、そのペースで最後までタイヤが持つかわからなかったので序盤はペースを抑えて入りました。ピットインでタイヤ交換をしなかったので後半はタイヤをいたわりながら走りましたが残り8周くらいはタイヤの消耗が激しくなったので転倒だけは気をつけて走りました。しかしそれでもスズキ勢のトップではゴールしたいと考えていました。雨のレースはシングルフィニッシュを目指していたので今回の4位はシーズンを通してみると意義を持つと思います。一発の速さは重要ですが、まだマシンが完璧に決まっていないので、その中で安定したリザルトが出せる前半戦にしたいと思います。そして後半戦はしっかりとトップ争いができるようになりたいと思います。

加藤陽平 監督コメント

開幕戦で課題であったマシンセットアップ及び17インチタイヤへの対応は鈴鹿での一戦を終え理解が少し増えました。マシンの問題なのか、タイヤの特性なのかという線引きはできましたので、そう言う意味で今回タイヤに関しては1スペックに絞りSUGO入りしました。レースウィーク初日は雨がぱらつくコンディション、津田選手の体調(MotoGPスポット参戦直後の全日本)の面を考慮し、無理をせず進めました。短い走行時間でしたが、落ち着いてセッションを進めることが出来、鈴鹿に比べると一歩前に進めたかな、スタート地点として自分達の立ち位置に立てたかな、と思います。
金曜日のドライセッションではトップに肉薄した2番手、ウェットの公式予選でも3番手につけたことはポジティブな状況でありました。
津田選手は26周終了時点でピットインの予定でしたが10周ほど早くピットインする状況になってしまい、さらにそのタイミングでセーフティーカーが入ってしまったのは不運でした。それにより下位まで沈んでしまった事は大きな誤算でしたが、チャンピオンシップの事を考え諦めずにレース戦い10番手まで復帰し貴重なポイントを得ることが出来ました。レースのペース的にはヤマハの2台と闘えるタイムだったと思います。但し、今日の高橋選手は非常に早くかなりの差を付けられたと実感しています。今後の新型GSX-R1000での開発目標として、更に前進させる必要が有ります。
濱原選手はヨシムラのマシンでSUGOを走るのは初めてなのに自己ベストを2秒近く更新しました。もう少し苦戦するだろうと予想していたのですが、鈴鹿のレースWEEK位から落ち着いて取り組むことが出来る様になり一定の評価はしていました。今回の雨走行も正直ここまでやるとは思っていなかったので嬉しい誤算です。タイヤ交換しなかったのはギャンブルではありましたが、あの時は4番手争いをしていて上のリザルトを目指していたので急遽の作戦変更でした。
最高峰クラスデビューレース6位、雨のレースで4位はやろうと思ってもなかなかできることではないし、彼の経験の中でプラスになるだろうし自信に繋がると思います。当然、チームのモチベーションも次は表彰台だ、と高まります。
次戦もてぎは事前テストがありますので、決勝レースでトップ争いができるように準備したいと思います。

JSB1000決勝レース正式結果

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 高橋 巧 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda CBR1000RR SP2 1h27’02.582
2 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 +1’09.843
3 渡辺 一馬 Kawasaki Team GREEN ZX-10RR +1’22.979
4

濱原 颯道

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +1’24.480
 
10

津田 拓也

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R 1 Lap

JSB1000公式予選

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 高橋 巧 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda CBR1000RR SP2 1’37.287
2 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 +0.054
3

津田 拓也

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +0.732
 
8

濱原 颯道

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +2.062

JSB1000ポイントランキング

順位 ライダー チーム ポイント
1 高橋 巧 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda 70P
2 渡辺 一馬 Kawasaki Team GREEN 56P
3 藤田 拓哉 YAMALUBE RACING TEAM 55P
4 津田 拓也 ヨシムラスズキMOTUL 53P
5 濱原 颯道 ヨシムラスズキMOTUL 53P
6 秋吉 耕佑 au & テルル ・ Kohara RT 47P
7 酒井 大作 BMW Motorrad39 43P
8 近藤 湧也 GBSレーシング YAMAHA 41P
9 中冨 伸一 HiTMAN RC甲子園ヤマハ 37P
10 渥美 心 UQ&テルル・Kohara RT 36P

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