Rd.6 ツインリンクもてぎ

日程 2017.08.19 , 08.20
サーキット ツインリンクもてぎ (栃木)
ライダー #12 津田 拓也 / #50 濱原 颯道
予選 3位
13位
本戦 2位
8位

全日本ロードレース第6戦「TWIN RING MOTEGI 2&4 RACE」が栃木県:ツインリンクもてぎで開催された。
前戦オートポリス大会から約2ヶ月ぶりの全日本ロードレース。間に鈴鹿8耐の参戦が入ったのでチームもライダーも実質的には3週間のインターバルとなり慌ただしさは変わりない。ここ、もてぎ大会から全日本ロードレースは後半戦がスタートする。津田拓也はシリーズランキングトップで、濱原颯道はランキング5位で折り返しを迎える。
5月のもてぎではコンディション変化にバイクが過敏に反応するという症状と17インチタイヤへの対応に悩まされたが、その後のオートポリス、鈴鹿8耐を経てマシンは進化してきている。鈴鹿8耐では16.5インチを履いた津田であったが、17インチへの対応も慣れてきた感がある。もてぎのコースレイアウトに苦慮した濱原もコースの攻略を進めている。ヨシムラスズキMOTULレーシングは、ライダー・チームが一体となって闘いに臨む。

今大会は通常行われる事前テストは行われず、金曜日からレースウィークが始まった。今シーズンの全日本ロードレースは降雨が多く、この週末も雨が予想された。
金曜日のART合同走行。どんよりと湿った空気に包まれたツインリンクもてぎ。1本目の走行直前に霧雨が降ったが路面はドライコンディションで行われた。1本目、津田は1分50秒095で3番手につける。濱原は1分52秒906で16番手。1本目の走行終了と同時に雨が落ちてきて2本目はウェット路面。しかし雨は上がりセッション終盤にはラインが乾いてくるコンディション。津田は2分00秒762で3番手。ドライでもウェットでも調子が上向いてきている。濱原は2分4秒826で17番手につけた。
翌土曜日に公式予選が開催された。相変わらず低い雲が垂れ込める蒸し暑い天候。今回の予選はノックアウト方式が採用された。30分間の走行のQ1で上位26位に絞り、Q1の上位6位は自動的にQ3に進出する。26台で行われるQ2で上位4位がQ3に進出、Q3は10台による計時方式で決勝グリッドが決定する。11位以下はQ2 の順位となる。

Q1、津田は1分50秒台前半で周回を重ね、5周目に1分49秒448のタイムをたたき出して3番手でQ3進出を決めた。濱原は1分51秒645のタイムで9番手通過、Q2で上位進出を狙う。
Q2、濱原は果敢に攻めるも1分51秒513のタイムで7番手、残念ながらQ3進出を果たせなかった。
いよいよ上位10台のグリッドを決めるQ3。津田は序盤からスパートをかける。2周目に1分49秒145のこの週末ベストタイムをたたき出す。いつもならさらにタイムアップを図ってプッシュを続ける津田だが今回は決勝レースを見据えた連続周回を重ねる。結果49秒台の安定したペースでラップ、確かな感触を掴んだ。
この2周目のタイムが最速となり津田はファーストロー予選3番グリッドを獲得した。濱原は苦戦を強いられQ2の結果より13番手から決勝レースに臨む。

心配された雨は前夜に止み、決勝日朝のウォームアップ走行はドライコンディションで行われた。津田は1分49秒961で3番手、濱原は1分51秒469で7番手に詰めてきた。

23周によるJSB1000クラスの決勝レースは午前10時25分にスタート。津田は3番グリッドからロケットスタートを決めてホールショットを奪うも中須賀克行選手(ヤマハ)と野左根航汰選手(ヤマハ)にパスされオープニングラップを3番手で通過する。その後も前を行くヤマハファクトリー2台とほぼ同じ1分49秒台中盤のタイムでピタリと張り付き、トップに出るチャンスをうかがう。しかしブレーキの違和感を覚え始め、カバーしながら走行するもこのままでは2台に離されると思いプッシュし始めた矢先の6周目の90度コーナーでオーバーラン、6番手まで順位を下げてしまう。津田は慌てず冷静に49秒台のラップで周回を重ね、9周目に5番手、10周目に4番手に浮上する。その後は前を行く高橋巧選手(ホンダ)を追う。13周目に1分49秒313のベストタイムをたたき出し、約2秒あった差を徐々に縮めていき、ついに19周目に捕らえて3番手に浮上する。先頭争いをしていた中須賀選手が20周目に転倒したため2位でチェッカーを受けた。津田はシリーズランキングポイント差を広げてランキングトップをキープしている。

濱原は予選13番手から絶妙なスタートを切ってオープニングラップを9番手で通過する。「予選順位が悪かったので序盤から飛び出して行きたい」と考えていた通り2周目には7番手まで順位を上げ、3周目に1分51秒120のベストタイムを出して周回を重ねる。しかし、後半タイヤが厳しくなってくると一つ順位を下げてしまうが結局8位でフィニッシュする。

鈴鹿8耐を経てマシンのポテンシャルは向上した。16.5インチから17インチへの乗り換えもスムーズに移行できたという津田は「8耐を16.5インチで走ってみて17インチとの違い、走り方、課題が明確に見えた」という。次戦オートポリスは濱原もリズムに乗れて走れると言い、2人のヨシムラスズキMOTULレーシングライダーの更なる活躍に期待したい。

津田拓也 選手コメント

今回、ライバルと同じタイヤを選択したので同条件でフィーリングを比較することができ、自分に足りないことや課題の方向性が明確にわかった点が大きいと思います。今までは走らせることに集中するのが精一杯という内容が多かったのですが、今回は内容的にしっかりレースできたと感じるレースだったとポジティブに捉えています。鈴鹿8耐からエンジンのスペックも制御も進化したのでバイクが随分と乗りやすくなり、自分がコントロールできる領域が拡がりました。今回ブレーキのトラブルが出てしまいオーバーランしてしまいましたが、以前よりトップを走るヤマハさんとの差は縮まりました。エンジンは確実に良くなっているのを感じます。まだまだやらなくてはならいことがたくさんあるので今後に向けての方向性が見えるレースでした。

濱原颯道 選手コメント

ハッキリ言ってダメでした。オートポリスでのバイクのフィーリングが良かったのでその流れでもてぎにバイクを持ち込んだのですが、車体づくりを間違えてしまった感じです。自分は背が高いので人間はなるべく動かないようにしてバイクの重心の高さで前後に荷重をかけたいのですが、もてぎはストップ・アンド・ゴーのレイアウトのため人間が動き過ぎてしまいます。タイヤが摩耗してくるとピッチングモーションが出て過ぎて滑りやすくなる症状に気付くのが遅れてしまいました。今日のレースはスタートで前に出て後続を引き離しておかないと後半厳しくなると思ったので序盤から飛ばしていきましたが、やはり後半厳しくなってしまいました。今回、中須賀選手や野左根選手の後ろで走る機会が多かったので自分の中でマシンの造り方を理解できたように思います。次戦オートポリスでは、今回の経験を活かし上位入賞を目指したいと思います。

加藤陽平 監督コメント

鈴鹿8耐のテストからレースにかけてマシンもかなり前進した中で、今大会から17インチタイヤに戻り、どこまで仕上がっているのかな、と不安と期待をもってサーキット入りしました。2&4と言うレースの性格上、走行時間が少ない中で持ち込んだセットから大きく変えることもなく、期待していたパフォーマンスに近いところまで前進しているな、と感じています。前回のもてぎのレースに比べればヤマハさんとの差は縮まりましたので、シーズンの残りでもう一歩前進させたいと思います。このウィークは比較的涼しい気候で推移したので5月に出た路面温度や気温にバイクが敏感に反応する症状は出ませんでした。17インチタイヤへの対応は正直まだ課題もありますしやれることもあると思いますが、鈴鹿8耐の16.5インチから今回17インチへ戻ったことでその特性が明確になったのでそこを詰めていきたいと思います。今回、レース中にブレーキのトラブルが出てしまいましたが、高橋選手を抜き返してシリーズポイントで差を広げたことは大きいと思います。次戦のオートポリスはマシン的にももてぎに比べればやりやすいと思います。持ち込みのセットやタイヤの選定を注意深く準備して早い段階から競争力を持てるようにしたいと思います。

JSB1000決勝レース正式結果

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 42’06.975
2

津田 拓也

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +9.411
3 高橋 巧 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda CBR1000RR SP2 +10.062
 
8

濱原 颯道

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +57.879

JSB1000公式予選

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 1’48.794
2 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 1’48.959
3 津田 拓也 ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R 1’49.145
 
13

濱原 颯道

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R 1’51.513

JSB1000ポイントランキング

順位 ライダー チーム ポイント
1 津田 拓也 ヨシムラスズキMOTUL 117P
2 高橋 巧 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda 112P
3 渡辺 一馬 Kawasaki Team GREEN 110P
4 藤田 拓哉 YAMALUBE RACING TEAM 91P
5 濱原 颯道 ヨシムラスズキMOTUL 85P
6 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 82P
7 近藤 湧也 GBSレーシング YAMAHA 66P
8 浦本 修充 Team KAGAYAMA 63P
9 松崎 克哉 Kawasaki Team GREEN 61P
10 山口 辰也 TOHO Racing 59P

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