2023 FIM世界耐久選手権(EWC) Rd.2 スパ24時間EWCレース

日程 2023.06.17 , 06.18
サーキット スパ・フランコルシャン
ライダー グレッグ・ブラック / シルバン・ギュントーリ / エティエンヌ・マッソン
予選 3位
本戦 4位

第2戦 スパ・フランコルシャンにてヨシムラSERT MOTUL は4位でゴール

ベルギー スパ・フランコルシャンサーキットにて行われた世界耐久選手権第2戦「SPA EWC Motos」において、ヨシムラSERT Motul は4位でゴールし、チャンピオンシップでは総合7番手から4番手へとポジションを上げた。

2022シーズンよりEWCカレンダーに復帰した伝統のあるサーキット「スパ・フランコルシャン」は、全長6.985kmというシリーズ戦で最長のコースであり、チームクルー及びライダー双方にとって非常に手強いラウンドとなる。ヨシムラSERT Motulにとっても24時間という長丁場において最後のチェッカーフラッグを受けるまで、その実力と運を試されるような展開となった。

各選手とも安定したラップタイムを刻んだ予選結果により3番グリッドに並んだヨシムラSERT Motul。スタートは気温も高い午後2時、降り注ぐ陽光のもとでル・マン式スタートにてライダーにもマシンにも厳しいスパの戦いが始まった。

第1ライダーはスタートを得意とするグレッグ・ブラック選手。ここでもホールショットを決めて勝負強さを発揮した。自信をもって積極的な走りができたことでレースをコントロールし、ライバルにパフォーマンスを見せつけた。
レース序盤よりセフティーカーが度々導入され、ピットインタイミングでの運・不運もあったがヤマハやホンダのトップチームと順位を入れ替えつつ、続くシルバン・ギュントーリ選手やエティエンヌ・マッソン選手と共にセットアップの進んだSUZUKI GSX-R1000Rに絶大な信頼を置きながら、各スティントでハイペースを維持し、レースを牽引していく。

しかし、レースの5時間が経過した頃、トップ3台が1秒以内の僅差で戦っている大事な場面で、周回遅れのライダーに接触し、相手の転倒を誘発させてしまったという事によりヨシムラSERT Motul はストップ&ゴーペナルティを課せられる。またその接触の際にオンボードカメラが脱落。レースコントロールからの指示で対応した作業が原因でマシンへのトラブルが発生。その修復のためにトップからラップダウンとなってしまう。

レース中盤は3名のライダーによる必死の追い上げや、確実なスタッフのピット作業で上位との差を詰めていく中、レースは夜間に突入し、そこでもヨシムラSERT Motulは強さを維持しつつライバルにプレッシャーをかけ続けた。特にギュントーリ選手が164周目に出した2分20秒578というベストラップは、今大会の最速記録になるほどの速さを見せつけた。

順位の変動がありつつも、夜明けには再び2番手ポジションに落ち着き、トップに迫るべくプッシュを続けた。しかし午前中にエンジン補器類にトラブルが発生しピットイン。クルーによる迅速な修復作業で、ほどなくレースに復帰したが再びポジションを落としてしまった。

ここまでのハイペースにより順位自体は4番手ではあったもののトップとの差は5周に開いており、残された数時間でこのギャップを埋めることは不可能だった。各選手は諦めることなくプッシュしたが、レース終盤でコース上に雨が降り始めたこともあり、最終ライダーのマッソン選手は堅持の走りに切り替え、そのまま無事に4位でチェッカーを受けた。

日仏合同チームはフィニッシュラインまでベストを尽くし、自分たちのパフォーマンスを発揮させたが、細かなトラブルに見舞われてしまったことで、僅かに表彰台に届かない4位でレースを終えた。
この第2戦で43ポイントを獲得したヨシムラSERT Motulは第1戦と合計で66ポイントを獲得しており、チャンピオンシップにおいては総合4番手につけた。

2023 FIM EWC の第3戦 鈴鹿8時間耐久レースは8月4~6日、日本の鈴鹿サーキットで行われる。

加藤陽平 チームディレクター

当然、我々が目指した結果ではありませんでした。勝敗を分けたのは2つのトラブルです。一つは序盤の接触で車載カメラが脱落し、その対応に起因する修理。そして終盤、まさにこれからトップとの差を詰めていくというタイミングで起きたエンジン補器類の不具合です。我々と共に働き、戦って、サポートして下さっている皆さんに大変申し訳ない気持ちです。レース中、ライダーもクルーもマシンと共に本当に高いパフォーマンスを発揮してくれました。残り2戦、鈴鹿とボルドールでは、何としてでも勝利を収めるべく全力で挑みます。

ダミアン・ソルニエ チームマネージャー

あれだけのエネルギーを投入して全力で戦ったのに表彰台にあと一歩届かないというのは、なんとも悔しいものです。レースウィークは全て順調に運んでいたし、レースへの準備は万全でした。チームの働きは完璧で、日本サイドとのコラボレーションも上々、ブリヂストンタイヤも素晴らしく機能していました。……ただ耐久レースというのは時として運を引き寄せる必要があり、我々には今回、それがほんの少し足りなかった。振り返れば開幕戦のル・マンでもやはりほんの少し運が足りなかった。残り2戦では万全の準備はもちろんのこと、勝利のための運というエッセンスもしっかり引き寄せられるようにありたいと思っています。チームはその実力を結果に結びつけられるよう次戦へと向かいます。

グレッグ・ブラック選手 (ライダー・ブルー)

このレースは取りこぼしてはいけないレースでした。あれだけ完璧な準備をしていたのに勝利を収められなかったのは本当に残念です。スタートは良かったですし、ライバルチームと戦い抜く良いペースでポジションを維持していました。他車と接触してしまいストップ&ゴーペナルティの裁定が出てしまったことは本当に残念です。その他マイナーなトラブルもありましたが、チームの素晴らしい働きのおかげで終盤には勝利の可能性が見えてきました。しかし残り時間が少ないタイミングでマシンにトラブルが出て、この夢は絶たれてしまいました。表彰台を逃してしまい、これでチャンピオンシップ獲得もより難しい立場になってしまいました。

シルバン・ギュントーリ選手 (ライダー・イエロー)

もちろん、もっといい結果を収めるべく戦っていたのですが、レース中にミスやいくつかのトラブルに見舞われてしまいました。このラウンドでは勝利を目指して全力を出し切りましたが、結果が伴わなかったことは本当に残念です。チャンピオンシップはまだあと2戦ありますので、まだ総合優勝の可能性も失われたわけではありません。ただほんの少し運を引き寄せる必要はありますね。

エティエンヌ・マッソン選手(ライダー・レッド)

レースウィークを通じて全て良いペースで、結果を確信していた週末だったので、この順位にがっかりしています。とにかく小さなミスやトラブルが多過ぎました。特にオンボードカメラ脱落が起因の修理とストップ&ゴーペナルティは回避できたタイムロスで、これらが後々に響いてしまいました。チームは最後まで全力を尽くしライバルにプレッシャーをかけ続けましたが、勝利を収めるには足りませんでした。もっといい結果を得られる力があっただけに残念です。チームは久しく勝利を味わっておらず、チャンピオンシップも残り2戦しかありません。あの勝利の喜びを、なんとしてでも取り戻したいですね。

公式予選

順位 チーム マシン 平均タイム
1 YART – Yamaha Official Team EWC YAMAHA YZF-R1 2:19.251
2 F.C.C. TSR Honda France HONDA CBR1000RR-R 2:20.210
3 ヨシムラSERT Motul SUZUKI GSX-R1000R 2:20.285


決勝レース結果

順位 チーム マシン 周回数
1 YART – Yamaha Official Team EWC YAMAHA YZF-R1 572ラップ
2 F.C.C. TSR Honda France HONDA CBR1000RR-R 571ラップ
3 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM BMW M1000RR 569ラップ
4 ヨシムラSERT Motul SUZUKI GSX-R1000R 567ラップ



ポイントランキング

順位 チーム ポイント
1 YART – Yamaha Official Team EWC 118P
2 F.C.C. TSR Honda France 117P
3 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM 85P
4 ヨシムラSERT Motul 66P
5 HONDA VILTAIS RACING 56P
6 Kawasaki Webike Trickstar 56P
7 TATI TEAM BERINGER RACING 46P
8 ERC Endurance Ducati 38P
9 Motobox Kremer Racing #65 18P
10 KM99 27P

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