2024 FIM世界耐久選手権(EWC) Rd.4 ボルドール24時間レース 決勝
日程 | 2024.09.14 , 09.15 |
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サーキット | ポールリカール・サーキット (フランス) |
ライダー | グレッグ・ブラック / エティエンヌ・マッソン / ダン・リンフット / 渥美 心 (リザーブライダー) |
予選 | 3位 |
本戦 | 1位 |
ヨシムラ SERT Motul、ボルドールの勝利で2024年FIM世界耐久選手権を制す
ヨシムラ SERT Motulは、9月14日(土)~15日(日)に開催されたボルドール24時間レースで圧倒的な強さで優勝し、2024年FIM世界耐久選手権のシリーズチャンピオンに輝いた。
今大会の勝利は、ヨシムラ SERT Motulにとって今シーズンの開幕ルマン24時間に続く優勝となり、世界タイトルは2021年に日仏パートナーシップでのチーム結成から2度目の獲得となった。
この偉業により、スズキは21回目の世界チャンピオンを獲得し、世界耐久選手権で最も勝利数の多いブランドとなった。
今年87回目となるフランス伝統のボルドール24時間は、2024年EWCシーズン最終戦として南仏のポール・リカール・サーキットで開催された。
スズキGSX-R1000Rを駆るヨシムラ SERT Motulは、第3戦までに110ポイントを獲得し、ランキングではトップとわずか6ポイント差の2位で第4戦を迎えた。そのため全てがこのレースにかかっていた。
予選で3番手につけたチームのスタートライダーは、グレッグ・ブラック選手。耐久特有のルマン式スタートで、スターティングエリアからマシンに走り寄ると、恒例のホールショットで観客を沸かせた。その後、すぐにライバルたちとのトップ争いが繰り広げられたがが、長いレースを見据えて速くも慎重なペースで周回を続けた。
第2スティントはエティエンヌ・マッソン選手が担当。耐久経験が豊富なマッソンは、ブラックと同様に安定したペースをキープ。続くイギリス人ライダーで今年シリーズ戦参戦が初となるダン・リンフット選手も、スズキGSX-R1000Rでトップをキープ。
チームの戦略はトラブルなく走行を続け、ボーナスポイントが与えられる重要な8時間目で首位に立っている事だった。そしてそのプラン通りスタートから8時間の23時の時点でトップを快走し、10ポイントを獲得した。
11時間を経過した頃、一時的にライバルにリードを許す展開となり2位に後退したが、安定した走りですぐにトップを取り戻した。このナイトセッションの間も、皆が集中してライバルを寄せ付けない走りを続けたヨシムラSERTモチュールは、リードを広げて次のボーナスポイントが付与される16時間目も首位を快走。更に10ポイントを獲得した。
ライダーチェンジでのピット作業もクルー全員が確実な仕事をし、レースをしっかりとコントロールしたヨシムラ SERT Motulは、最終スティントを任されたマッソン選手が5.673kmのポール・リカール・サーキットを737周という記録的な周回数で、2位に7周のリードを付けてチェッカーフラッグを受けた。
2024年のボルドール24時間で勝利を飾ったチームは、開幕のルマン24時間に続きシーズンの24時間耐久を2度とも優勝。スパ8時間の2位と鈴鹿8耐での3位という結果から、シリーズ全戦で表彰台獲得という偉業を達成。これらのシーズン中の積み上げにより、2024年FIM EWC世界選手権のチャンピオンタイトルを見事に掴み取った。
加藤陽平 チームディレクター
今年のボルドール24時間は素晴らしいレースとなりました。ポールリカールは耐久面で厳しいサーキットですが、性能の部分でも予選ではうまく力が発揮できなかったので、決勝になってこれほど問題なくパフォーマンスを出し切れるとは正直思っていませんでした。この結果はライダーやチームの頑張りはもちろんですが、ヨシムラの設計やエンジニアたちのお陰でもあり、みんなの努力で良いマシンを走らせることができたと思っています。ライダーの集中力は高かったですし、ピットワークの作業はどのライバルたちよりも正確で速かったですね。この結果をとても誇りに思いますし、関わってくれた人すべてに感謝したいです。
ダミアン・ソルニエ チームマネージャー
序盤に同じブリヂストンユーザーのライバル2台にトラブルが発生したので、予定を少し変更したのですが、それは正しい判断だったと思いますし、結果として問題なく24時間を走り切ることができました。他にもライバルはいますし、チャンピオンタイトルに向けて確実な結果が求められたレースの中、とにかく集中力を切らすことなくリードを保つことが課題でしたが、決して簡単ではないことをチームの皆が素晴らしい仕事で実現してくれました。ミスもトラブルもない完璧なレースでした。
グレッグ・ブラック選手 [ライダーブルー]
鈴鹿テストでの怪我の後、夏の間この最終戦に向けて懸命に治療とリハビリをしました。問題なく走れる状態にはなってポールリカール入りをしましたが、このボルドール24時間に挑むのに100%回復できたかどうかは正直分かりませんでした。レース中はずっと痛みを感じていましたし、レース終盤に向けて複雑な心境もありましたが、自分の役割を果たし最後までチームメイトと一緒に戦いたいという気持ちに迷いはありませんでした。この勝利は僕にとって特別な意味があり、忘れられないレースになります。
エティエンヌ・マッソン選手 [ライダーイエロー]
昨シーズン後のテストチームの懸命な取り組みで、マシンの旋回性がとても良くなり今年は初戦から優勝でスタートすることができました。続く2回の8時間耐久ではポテンシャルを出しきれませんでしたが、どちらのレースでも表彰台を獲得することができ、強さも速さも証明できていました。ポールリカールはチームのマシンとの相性が良いサーキットだと分かっていたので、決勝は安心して挑めました。バイクのフィーリングは素晴らしかったし、チームメイトにも恵まれましたね。僕たち全員が非常に強い意志をもって同じ気持ちで戦えました。優勝とチャンピオン獲得を同時に達成したことで、僕たちチームの強さも改めて証明することができたと思います。
ダン・リンフット選手 [ライダーレッド]
世界耐久参戦1年目でのチャンピオン獲得は、夢以上の素晴らしい結果です!もちろんヨシムラ SERT Motulからの参戦という事で、チャンピオンを目指していたので目的を達成しただけではあるのですが、加入したばかりの僕にとっては信じられない様な経験になりました。チームとチームメイトの仕事振りはとにかく圧巻で、24時間の間には難しい場面もありましたが、本当に見事にチェッカーまで走り切ることができて嬉しく思います。長いレースなので、攻める場面ではスピード重視で、安全重視の時はタイムをできるだけキープしながら次のライダーにバトンを渡すことを心掛けていました。目標はボルドール24時間での勝利とチャンピオン獲得でしたが、本当にその夢が現実になりました!
渥美心選手 [リザーブライダー]
冬の開発テストからシリーズチャンピオン獲得に向けてチームと一緒に取り組んできたシーズンだったので、目標が叶って本当に嬉しいです。
今回のボルドール24時間もチームメイトの速く強い走りとクルーの俊敏なピット作業、そして責任者たちの綿密な準備や判断があって、見事に優勝を勝ち取れたのだと思います。
今シーズン実際にレースを走ったのは第3戦だけで、残念ながらチャンピオン獲得者として名前は残りませんが、鈴鹿8耐の結果で少しでもチームに貢献できたのであれば嬉しいです。シーズンを通し、チームの頑張りを見てきたので、心からおめでとうと言いたいです。
予選
順位 | チーム | マシン | ベスト平均タイム |
1 | BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM | BMW M1000RR | 1’52.049 |
2 | YART – YAMAHA | YMAHA YZF-R1 | 1’52.692 |
3 | YOSHIMURA SERT Motul | SUZUKI GSX-R1000R | 1’52.939 |
4 | HONDA VITALS RACING | HONDA CBR1000RR-R | 1’52.993 |
5 | F.C.C. TSR HONDA FRANCE | HONDA CBR1000RR-R | 1’53.560 |
決勝
順位 | チーム | マシン | 周回数 |
1 | YOSHIMURA SERT Motul | SUZUKI GSX-R1000R | 737 |
2 | KM99 | YMAHA YZF-R1 | 730 |
3 | YART – YAMAHA | YMAHA YZF-R1 | 721 |
4 | TEAM18 SAPEURS POMPIERS CMS MOTOSTORE | YMAHA YZF-R1 | 720 |
5 | BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM | BMW M1000RR | 718 |
ポイントランキング
順位 | チーム | マシン | ポイント |
1 | YOSHIMURA SERT Motul | SUZUKI GSX-R1000R | 173 |
2 | YART – YAMAHA | YMAHA YZF-R1 | 159 |
3 | BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM | BMW M1000RR | 119 |
4 | KM99 | YMAHA YZF-R1 | 89 |
5 | TATI TEAM BERINGER RACING | HONDA CBR1000RR-R | 66 |
6 | Team Bolliger Switzerland #8 | Kawasaki ZX-10R | 47 |
7 | Wójcik Racing Team 77 | HONDA CBR1000RR-R | 42 |
8 | MACO RACING Team | YMAHA YZF-R1 | 41 |
9 | HONDA VILTAIS RACING | HONDA CBR1000RR-R | 39 |
10 | Kawasaki Webike Trickstar | Kawasaki ZX-10R | 39 |