2024 FIM世界耐久選手権(EWC) Rd.1 ルマン24時間レース 決勝

日程 2024.04.20 , 04.21
サーキット ブガッティサーキット (フランス)
ライダー グレッグ・ブラック / エティエンヌ・マッソン / ダン・リンフット
予選 2位
本戦 1位

ヨシムラSERT Motul 開幕戦ルマンを勝利で飾る

2024 FIM世界耐久選手権は、47回目の開催となるルマン24時間耐久レース(24 Heures Motos)で開幕し、ヨシムラSERT MOTULが見事な勝利を収めた。チーム発足からの4年間で3度目(2021、2022、2024)の優勝となったが、これはスズキ車の15回目の勝利となり、二輪のルマン24時間耐久レースにおける車両メーカーの勝利ランキングで歴史的新記録となった。

4月20日のフランス時間午後3時にブガッティサーキットでスタートした開幕戦は、48ものチームが参戦し、また2011年以来最大となる78,800人以上の観客が詰めかける一大イベントとなった。

2番グリッドからスタートに臨んだヨシムラSERT Motulは、スタートの速さに定評のあるグレッグ・ブラック選手を第1ライダーに起用。ブラック選手は2024年シーズンを得意のホールショットでスタートさせることに成功しただけでなく、1周目からライバルを引き離す力強い走りを見せた。

序盤をリードした後、ブラック選手は先頭を明け渡しはしたものの、トップグループと共に安定した走りを続けた。またチームメートのエティエンヌ・マッソン選手、ダン・リンフット選手もそれぞれ強いパフォーマンスを発揮。GSX-R1000Rは後のスティントで再びトップを奪取することに成功した。

しかし、徐々にリードを広げつつあった105周目にブラック選手が転倒。後続に12秒ほどのアドバンテージがあった中での痛恨のライダーミスのように映ったが、その原因は先のピットストップ時に誤ってトラクションコントロールシステムがオフになってしまっていたことが原因だった。ブラック選手にとっては避けられないハイサイド転倒となってしまったのだった。

ピットに戻ったGSX-R1000Rはメカニックによる迅速な修理で、6分を切るという驚異的に短いピットストップの後、再びコースイン。このわずかなタイムロスでも18位まで順位は落ちていたのだが、これに加え転倒後のピット帰還時にマシンが逆走していたことによるペナルティが通達され、ライドスルーペナルティの消化でさらなるタイムロスする事態となった。

続く数時間、ブラック/マッソン/リンフットの3選手はただひたすらにハイペースを維持し確実に順位を上げ続け、レースの1/3となる8時間経過時には4番手に帰り咲く大健闘を見せた。これにより7ポイントのボーナスポイントも獲得している。

夜間の各スティントでもヨシムラSERT Motulライダー達の安定感は変わらず、1分36秒台を中心としたハイペースを維持し、またピットクルーも迅速で確実なピット作業を繰り返した。

レースの2/3となる16時間経過時に再びトップを奪取したヨシムラSERT MotulのGSX-R1000Rは、10ポイントの貴重なボーナスポイントも確実にものにし、そのままミスなくレースをコントロール。24時間経過時のチェッカーフラッグまで駆け抜けた。

ヨシムラSERT Motulはこの開幕戦で勝利、そして選手権においてもリードしてシーズンをスタートさせることができた。

加藤陽平 チームディレクター
素晴らしい勝利でした。いくつかのミスもありましたが、うまく切り抜けて最後には勝利を引き戻すことができました。ライダーはもちろん、スタッフ、そしてヨシムラとSERTのみんな、応援してくれるファンの皆さんやスズキを始めとするスポンサーの皆さんにも感謝を申し上げます。開幕戦は優勝することができましたが、今シーズン自らに課した目標にはあと3つの勝利が必要です。この目標を達成するべく、引き続き全力で臨みます。

ダミアン・ソルニエ チームマネージャー
レース序盤は、またここ(地元)ルマンで勝てないのではないかと思ってしまいましたので、チームが成し遂げた事にとにかく嬉しく感じています。夜間走行でライダー達が見せたパフォーマンスには本当に敬意を表しますし、チーム全員のモチベーションが高く、全員が100%の力を発揮していました。もう一つ嬉しく思っているのは、今シーズンから新メンバーを多く起用している技術陣が良く機能したことです。新しいスタッフで開幕戦からうまく回すというのはなかなか難しいものなのです。この点でも、開幕戦ルマンでの勝利は満足感が高いものとなりました。

グレッグ・ブラック [ライダーブルー]
素晴らしいレース展開でした。序盤はYARTと速いペースで激しいバトルを繰り広げ、その後トラクションコントロールの問題により転倒の場面もあったのですが、そのトラブルからはマシンも気持ちもリセットされ、表彰台獲得を目指した第2のレースが始まったのです。終盤にはライバルたちもそれぞれ耐久ならではのトラブルに見舞われましたが、我々は余裕を持ってミスなくハイペースを重ね、トップに返り咲き、最後までこのポジションを維持することができました。2023年の最終戦ボルドールで勝利を収め、そして2024の開幕戦でも勝利。この2連勝はチームに良い機運をもたらしています。パフォーマンスの高いスズキGSX-R1000Rとマッチングの良いブリヂストンタイヤにより、今シーズンは強いパッケージで臨めています。

エティエンヌ・マッソン [ライダーイエロー]
初めてルマンで勝ったのはSERTに加入した2015年でした。こうして9年後に再びここで勝てるなんて、本当に大きな喜びです。特に序盤のトラブルを考えると、この勝利は特別なものになりました。我々はミスが出た序盤の空気を引きずることなく、すぐに気持ちを切り替えてレースに集中することができました。チームは常に素晴らしい働きをしてくれたし、ライダー達は夜の間ずっとハイペースを維持してレースリーダーたちとのギャップを確実に詰めていきました。最終的にはこれら努力が実を結びました。昨シーズンは様々なトラブルや不運に見舞われていたため、今シーズンをこうして素晴らしい勝利でスタートできたことがとても嬉しいです。

ダン・リンフット [ライダーレッド]
今日は僕にとって格別な日となりました。まずはチームメートやスタッフに感謝します。昨年もこのルマン24時間に参戦していましたが、その時はスーパーストックのカテゴリーであり、今年はヨシムラSERT Motulからの参戦が叶い、このパッケージで、このレベルで走れるなんて信じられないような気持ちです。もちろん、このレベルでの耐久レースを走ることにおいてまだまだ学ぶことは多いですが、もう既に次戦が楽しみです。次はスパ・フランコルシャン。スパでレースをするのは久しぶりとなりますが、大好きなサーキットです。今回の素晴らしいレースでEWCレースに対する自信を深めることができました。チームのみんな、本当にありがとう!

渥美 心 [リザーブライダー]
ヨシムラSERT Motulの一員として、このウィークを共に過ごせて良い経験となりました。決勝レースは走行できませんでしたが、予選での走りも自分のアタックとしてだけではなくマシンの作業確認という役割もあったので、チームメイトのサポートができた事に満足しています。シーズンオフの間、ヨシムラジャパンのテストメンバーと共にマシンの開発に取り組んできました。そのマシンがライバルを圧倒する強い走りで勝利を掴んだので、本当に嬉しく思いました。

予選

順位チームマシンタイム
1YART YAMAHAYAMAHA YZF-R11’34.868
2ヨシムラSERT MOTULSUZUKI GSX-R1000R1’35.178
3F.C.C. TSR HONDA FranceHONDA CBR1000RR-R1’35.223
4HONDA VILTAIS RACINGHONDA CBR10001’35.354
5BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMBMW M10000RR1’35.398

決勝

順位チームマシン周回数
1ヨシムラSERT MotulSUZUKI GSX-R1000R857
2BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMBMW M10000RR856
3YART YAMAHAYAMAHA YZF-R1852
4KAWASAKI WEBIKE TRICKSTARKawasaki ZX-10R844
5NATIONAL MTOTS HONDAHONDA CBR1000R840

ポイントランキング

順位チームマシンポイント
1ヨシムラSERT MotulSUZUKI GSX-R1000R61
2YART YAMAHAYAMAHA YZF-R152
3BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMBMW M10000RR51
4KAWASAKI WEBIKE TRICKSTARKawasaki ZX-10R39
5TATI TEAM BERINGER RACINGHONDA CBR1000RR33
6TEAM BOLLIGER SWITZLANDKawasaki ZX-10R28
7BMRT 3D MAXXESS NEVERSKawasaki ZX-10R24
8Motobox Kremer RacingKawasaki ZX-10R20
9KM99YAMAHA YZF-R118
10Wójcik Racing Team EWCHONDA CBR1000RR-R-SP12

世界耐久選手権において合計61ポイントを獲得したヨシムラSERT Motulは、ポイントリーダーとして6月8日にベルギーで開催されるFIM EWC第2戦、スパ・フランコルシャン8時間耐久レースへと向かう。


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