Rd.6 岡山国際サーキット

日程 2019.08.31 , 09.01
サーキット 岡山国際サーキット (岡山)
ライダー #12 加賀山 就臣 / #26 渡辺 一樹
予選 6位
10位
本戦 6位
10位

真夏のもてぎラウンドから2週間。舞台を西の岡山国際サーキットに移して全日本ロードレース第6戦が開幕した。高低差29m。2本のストレートと13の中低速コーナーで繋ぐテクニカルサーキット。ここではマシンパワーよりも旋回性能の高さが求められる。昨年は台風の接近で決勝レースがキャンセルされたので2年ぶりの決勝レースとなる。前戦もてぎの後休む間もなく翌週には事前テストが行われた。渡辺一樹は1分28秒308のタイムで4番手、加賀山は1分29秒052で7番手につけて好感触を掴む。

金曜日のART合同走行。朝8時頃コース上に川ができるほどの激しい雨が降った。1時間ほどで止みその後は日射しも出てくる。JSB1000クラスの走行の頃にはドライ路面になったが一部濡れている箇所もあった。1本目の走行を見送るチームもある中、ヨシムラスズキMOTULレーシングは積極的に走行を重ねて各部のチェックを行う。前戦もてぎで悔しい4位チェッカーだった渡辺一樹は、岡山ラウンドに向けて大きくセッティング方向を変えて乗り込んだ。事前テストから好感触を得ており、1本目1分29秒470で2番手につける。鈴鹿8耐以前の全日本仕様のマシンを持ち込んでもてぎでは苦労した加賀山は鈴鹿8耐で進化したパーツを投入したマシンで岡山に臨んだ。1本目1分31秒461で4番手につける。2本目は完全にドライ。渡辺はタイムを伸ばして自己ベストの1分28秒197で総合2番手につける。加賀山も28秒台に入れてきて1分28秒461、自己ベスト更新で総合6番手につける。

迎えた公式予選。朝から爽やかな好天となる。
今大会もノックアウト予選が導入される。エントリー台数27台全車が走行する35分間のQ1で上位10台を選出する。11番以下のグリッドはQ1の結果で決まる。Q2は上位10台による15分間の計時予選。ポールポジションから10番グリッドが決まる。
公式予選Q1スタート。加賀山は1分28秒899のタイムで7番手、渡辺は自己ベストをさらに更新する1分28秒079で4番手。それぞれQ1を通過する。
10分間のインターバルを挟んで10台によるQ2がスタート。加賀山はピットインせずに連続走行を重ねる。5周目にマークした1分28秒330の自己ベストタイムで予選6番グリッドを獲得。バランスを変えたバイクの方向性に好感触を抱いていた渡辺、Q2序盤は確認のため中古タイヤでコースイン、問題ないことを確認する。ピットインして新品タイヤに交換、これからタイムアタック、という矢先にダブルヘアピンひとつめで転倒、残念ながら10番グリッドからのスタートとなる。

日曜日は前日の好天から一転、朝のフリー走行には雨がパラつくぐずついた天気。決勝レース前には本降りの雨となりこのウィークで初めてのフルウェットコンディションとなる。チームは慌ただしく、しかし正確にドライからウェットコンディションへのセッティング変更を行う。13:35、24周による決勝レーススタート。

セカンドローイン側6番グリッドの加賀山は5番手で1コーナーに進入する。予選10番グリッドの渡辺は一気に順位を上げ、6番手でアトウッドカーブを立ち上がるとバックストレートからヘアピン進入で加賀山をパスして5番手に浮上、ヨシムラスズキMOTULレーシングが5番手6番手を2台揃って走行する良いスタート切った。

しかしここで渡辺のマシンにトラブルが発生する。3周目までは1分42秒台でラップしていたが4周目には1分44秒617とガクンとタイムが下がり加賀山にかわされて6番手に後退。8周目には1分45秒台にまでペースを落とさざるを得なくなり、ずるずると10番手まで順位を下げてしまう。一時はピットインも考えたと言う渡辺だが中盤以降症状が少し治まり、ラップタイムペースも11周目に1分40秒910のベストまで回復するとその後は41秒台で周回、そのまま10位でチェッカーを受ける。岡山ラウンドからリスクを承知でガラリとセッティングを変更したがそれがうまくはまりドライでは自己ベストを更新する好調さを見せていただけに悔しい10位であった


加賀山は全日本ロードレースでブリヂストンタイヤのフルウェットで走るのが初めてに等しい。鈴鹿8耐で経験はあるが鈴鹿8耐はドライでもウェットでもセットを変えない、が基本。全日本ではドライとウェットで微妙ではあるがセットを変える。そのウェットのセッティングデータを加賀山は持っていなかった。昨年までのデータを参考にセッティングするが詰め切れずアクセルを開けるとタイヤが滑る症状に苦しみラップタイムペースを上げる事ができず6位でフィニッシュした。

このウィークで初めてのフルウェット。6位と10位と言う結果は残念であるが今シーズン、毎戦積み上げたデータやセットで翌戦のレースウィーク初日から入れることが昨年とは大きな違いだ。またコースコンディションへの対応の幅が狭かった昨年までとは違い、変化への対応力も増してマシンのベースの底上げができている。渡辺に起きたトラブルはヨシムラだけの対応では難しいのでメーカーに相談しながら解決を図っていく。次戦はオートポリス。相性の良いサーキットなのでさらに高い位置を目指す。

加賀山就臣 選手コメント

岡山は鈴鹿8耐で進化したマシンに投入したパーツを搭載したマシンで臨みました。事前テストではそれが上手く機能しましたが前とのタイム差が開いていたのでいろいろと試行錯誤した後、今までとレンジが違うタイヤに変えたらガラリと印象が変わってタイムが上がりました。レースウィークもそのタイヤを使ってタイムが上がり自己ベストを更新できましたのでドライでどこまで行けるのか楽しみにしていたのですが決勝レースは雨となってしまいました。自分はこのマシンでドライからウェットへのマシンデータを持っていなかったので過去のデータを元に試行錯誤しましたがアジャストし切れず、アクセルの開け始めにタイヤが滑る症状が出てペースを上げられませんでした。今回も6位という順位は悔しいのですが、ドライからウェットへのデータを取れたことは次のステップに繋がる意義のある6位だと思っています。

渡辺一樹 選手コメント

ネガな部分、ポジティブな部分ありますが事前テストから新しいバランスのバイクを造り上げることにしました。テストでは自己ベストを更新できたし伸び代はあるなと感じました。ウィークに入ってもその流れで細かい調整を行いました。バイクのバランスを変えた後にここまでスムーズにくるのは滅多にないことだと思います。金曜日、雨上がりで路面コンディションが悪かったと言うライダーが多かったのですが、自分はむしろテストの時より良く感じました。それは昨年からの課題であった「路面コンディション変化への対応」ができてきて高い次元でのレベルが取れてきたからだと思います。
予選ではQ1で自己ベストを更新できたのにQ2で転倒してしまったのが残念です。バランスを変えたマシンの新品タイヤでタイムアタックするのが初めてだったのでそこに対する習熟度が足りなかったのだと思います。
決勝レースはぶっつけ本番の雨となりましたがサイティングラップの感触は良かったので10番グリッドからでも行けるかも、と思っていました。2周目に5番手まで上がり序盤のペースの上げ方もタイム自体も良かったので前を行く高橋巧選手を追いかけようとしたタイミングでマシンにトラブルが出てしまいペースを上げることができず、ピットに戻ろうかと思ったのですがそれ以上トラブルの症状がひどくならなかったのでポイントを取るために完走を目指しました。まともにレースができなかったことが残念です。

吉村不二雄 社長コメント

渡辺選手のトラブルは思いもよらないところから発生したのが不運でした。原因は調査中でメーカーにも依頼しました。レースウィークに入ってドライで調子が良いだけでなく、このウィーク初めてのウェットでも4列目から5番手まで追い上げてこれから、と言う時だっただけに非常に残念です。
加賀山選手は全日本ロードレースでブリヂストンタイヤによるフルウェットレースは初めてに近く、マシンのウェットのセッティングデータを持ち合わせていなかったのが不幸でした。ですが今回のレースでデータを取れたので今後に活かせると思います。
残り2戦・4レース、自分たちのできることをしっかりとこなしてさらに上位を獲れるように頑張ります。

JSB1000決勝 正式結果

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 39’32.122
2 水野 涼 MuSASHi RT HARC-PRO.Honda CBR1000RR +4.039
3 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 +11.446
 
6

加賀山 就臣

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +58.608
 
10

渡辺 一樹

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +1’33.540

JSB1000公式予選

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 1’27.178
2 水野 涼 MuSASHi RT HARC-PRO.Honda CBR1000RR +0.267
3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 +0.483
 
6

加賀山 就臣

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +1.152
 
10

渡辺 一樹

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +1.952

JSB1000ポイントランキング

順位 ライダー チーム ポイント
1 高橋 巧 Team HRC 182P
2 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 161P
3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 155P
4 水野 涼 MuSASHi RT HARC-PRO.Honda 141P
5 渡辺 一樹 ヨシムラスズキMOTUL 117P
6 秋吉 耕佑 au・テルルMotoUP RT 111P
7 加賀山 就臣 ヨシムラスズキMOTUL 111P
8 渡辺 一馬 Kawasaki Team GREEN 109P
9 岩戸 亮介 Kawasaki Team GREEN 103P
10 前田 恵助 YAMALUBE RACING TEAM 67P

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