Rd.1 ツインリンクもてぎ

日程 2019.04.06 , 04.07
サーキット ツインリンクもてぎ (栃木)
ライダー #12 加賀山 就臣 / #26 渡辺 一樹
予選 予選1: 6位 /予選2: 6位
予選1: 4位 /予選2: 4位
本戦 レース1: 8位/レース2: 7位
レース1: 4位 /レース2: 4位

2019年シーズンの全日本ロードレースが開幕した。舞台は今年も栃木県:ツインリンクもてぎ。
結果を残せず悔しい思いをした昨シーズン。「チームとして変革が必要」と言う加藤陽平監督は心機一転を図りライダーラインナップを変更した。2年目の渡辺一樹に加えて新たに世界で活躍した加賀山就臣を起用する。

昨シーズンからチームに加わり、「初めてのマシン、初めてのチーム、と言う環境下でメーカーやチームの考え方の違いが心地よく新鮮な気持ちで1年レースを戦う事ができた」という渡辺一樹。初年度から表彰台争いにも絡む好走を見せ、今シーズンは表彰台の頂点を目指す。
そして「世界での経験が豊富でチームの立て直しとさらなる前進に必要」と白羽の矢を立てられたのが加賀山就臣である。加賀山は2007年にヨシムラスズキにて鈴鹿8耐優勝を果たし、2011年には2位表彰台を獲得している。豊富なレース経験とマシン開発能力の高さに期待が寄せられる。「まず1勝」、加藤監督のこの言葉に込めた並々ならぬ想いをチーム全体で成し遂げていく。

2017年にモデルチェンジしたGSX-R1000 をベースとしたヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R L9。
カラーリングも一新、シャープな鋭角ラインで精悍さを増した。シーズンオフからテスト機会が少ない中でチームはマシン開発を進め、熟成されたマシンと2人のライダーでシリーズチャンピオン獲得を目指す。
今シーズンもJSB1000クラスは2レース制が導入され7戦12レースとなる。土曜日にレース1、日曜日にレース2が開催される。慌ただしいウィークとなるがその分多くのデータを収集することができる。さらに、仮に1レース落としたとしても致命的な打撃とはならず他のレースで挽回できるチャンスがあり、メリットも多分にある。

このレースウィークは木曜日に30分間の特別スポーツ走行が2本行われた。1本目、加賀山が4番手、渡辺が5番手の好位置につける。2本目に渡辺が1分50秒を切る1分48秒851をマークした。
加賀山は1分50秒287がベストタイム。翌金曜日は朝から好天。ART合同走行1本目、渡辺はさらにタイムを伸ばし1分48秒697。加賀山も50秒を切り1分49秒437をマークした。
午後の2本目、気温も路面温度も午前中よりは上昇するも2人とも49秒台に入れて、2日目の総合では渡辺が5番手、加賀山が8番手につける。2レース制の今大会は、土曜日に行われた公式予選で各ライダーのベストラップタイムから決勝レース1のグリッドを決定し、決勝レース2はセカンドラップタイムで決定する。

予選日(土曜日 午前)
朝から快晴、早朝のうちは気温が低かったが公式予選が始まる9:30には気温も18度まで上昇した。渡辺は序盤からコンスタントに1分48秒台に入れ、最終ラップにこの週末のベストタイム1分48秒271をたたき出してレース1の4番グリッドを獲得した。このタイムは従来のコースレコードを更新する好タイム。もちろん自身のベストタイムである。
加賀山も序盤から48秒台に入れてきた。終盤の17ラップ目に1分48秒615のベストタイムでレース1の6番グリッドを獲得した。加賀山もコースレコードに迫るタイムまでまとめてきた。セカンドタイムで決まるレース2のグリッドも、渡辺4番手、加賀山6番手からスタートする。

決勝レース1(土曜日 午後)
渡辺は絶妙なスタートを決めて2番手でオープニングラップを通過する。その後も1分49秒前半のラップタイムを刻み8周目には1分48秒954のベストタイムを出す。
昨年に比べればレースのラップタイムは伸びているものの、トップ勢はさらに上のタイムで周回。
「まだマシンのポテンシャルを100%引き出すところまで詰めて切れていない」との言葉にも現れているように4番手でフィニッシュ。どうしてもあと一歩、表彰台に届かない。この悔しさをレース2に向けてチームと対策を練る。

加賀山は、チームに合流して初めてのレース。
「マシン自体もコンセプトも(昨年までの自身のチームよりも)一歩先を行っている。そこにまだ自身がアジャストができていない」とコメント。「ブレーキングではみ出しそうになった場面を何回か経験し、その遅れを取り戻すのに5周ほどかかってしまった」とレース1は8位でフィニッシュする。

渡辺も加賀山もレース2に向けての課題を見つけたのでチームと共に限られた時間の中でできることを全てやり切るために作業を続けた。

決勝レース2(日曜日 午後)
雲が多めながらも好天。前日より気温も路面温度も低いコンディションでレースのスタートが切られた。
得意のスタートを決めた加賀山が2番手で第1コーナーに進入する。「スタートで失敗した」という渡辺は6番手。オープニングラップを加賀山3番手、渡辺5番手で通過する。渡辺は3周目に1分49秒124のベストタイムにペースを上げ、4番手にポジションアップする。マシンに若干の問題を抱えながらの走行となった渡辺は一時5番手までポジションを下げるが8周目には再び1分49秒124に入れ4番手に浮上、レース1に続き4位でフィニッシュした。
序盤にジャンプアップした加賀山であったが「トップ2台のペースが速くてあっという間にかわされた」と言う。まだマシンにアジャストできていないこともあり、ライバル達とラップタイムペースはほぼ同じでも「抜く」ところまでは達していない。中盤に1分50秒台にラップタイムが落ちたが、後半は安定して49秒台をマークして7位でフィニッシュする。

2018年のスタートは決して満足のいく内容ではなかったが、ヨシムラスズキMOTULレーシングが目指す「チャンピオン獲得」達成のためチームもライダーも高いモチベーションを持ちながら次戦鈴鹿に向けて動き出している。

加賀山就臣 選手コメント

マレーシアのテストで初めてヨシムラのマシンに乗りました。マシンのセットアップというよりは様々なパーツのテストを行い、引き出しの数を増やすことを目的としました。同じGSX-R1000RですがTeam KAGAYAMAのマシンとはコンセプトも目的も詰め方も一歩先を行く造りをしていると感じました。それらをまとめて臨んだのがもてぎの事前テストでした。
ベースとなるセットアップを詰めて一歩踏み出したかったのですが、自分がまだマシンにもタイヤにも慣れていない部分が多く、ヨシムラのポテンシャルを十分に引き出せていないと感じています。チームが自分に望んでいるものはトップを攻略するためのマシン造りです。自分の中ではだいぶ理解をしてきたつもりですがトップに追いつくにはまだ遠いと言う印象です。
レースで勝つためには「武器」が必要です。ブレーキングでも、ストレートの速さでも、何かひとつ抜き出ている武器を作ることと、全体のポテンシャルアップを図っていきたいと思います。渡辺一樹選手が現在、ワークス2チームに次いだ位置で頑張ってくれていますので、去年からのマシンの流れを知っている一樹選手と、経験とアイディアを持ってきた自分でワークスに対抗できるチームにしていきたいと思います。

渡辺一樹 選手コメント

開幕戦から結果を残せれば良かったのですが、まだ地の力が足りないのかな、と言うのが正直な感想です。しかし事前テストでもマシンは良くなった手応を感じて、2レースをしっかりこなしてデータをしっかり取れましたし、ファクトリーチームのマシンを比較対象として見られたので充実したレースウィークだったと思います。
事前テストの初日から1分48秒1とか2を出せたので一発のタイムであれば47秒台は出せると思ったのですがレースウィークに入ってからなかなか詰めることができませんでした。予選でコースレコードを更新するタイムを出せましたが、アタックラップに入るタイミングが悪くてクリアラップが取れず、タイヤの美味しいところを使う事ができなかったのが残念でした。レース1では序盤2番手からのスタートでしたが、レース2ではスタートで出遅れてしまい昨日よりラップタイムペースが遅い集団の中での闘いとなりました。マイナーなトラブルが発生してペースを上げられなかったのですが、しっかりと走り切れたのは良かったと思います。
今回のマシンベースセットは昨年最終戦の鈴鹿のまま持ち込んでいます。鈴鹿ともてぎでは真逆のコースなのに細かいセッティングで走れていることにマシンの許容範囲が広がった。と感じています。去年の課題であった「コンディション変化に対応する幅」が解決できたことは大きな収穫でした。次はマシンの”速さ”を追求したいと思います。

加藤陽平 監督コメント

2019年の開幕戦、昨シーズンに比べれば落ち着いてレースをする事が出来ました。昨年課題となっていた点も、シーズンオフの開発によって確実に改善の手応えを感じていますが、ファクトリー2チームの速さが抜き出ているので、まだまだ追いついていないと言う事を改めて認識させられた開幕戦でした。ただし昨年は色々なマイナートラブルによって開発が足踏みした時期も有りましたが、シーズンオフの実験的な要素からやっと、マシンを速く走らせると言う開発に集中できるスタートラインに立つ事が出来たと捉え、前向きに挑戦者として戦っていきたいと改めて感じました。
渡辺選手は事前テストでの調子は良かったのですが、レースウィークに伸び悩んでしまいました。テストでの良い状況から野左根選手を追い詰めていく事を期待していましたが、逆に離されてしまいましたので原因の究明を進めている最中です。
加賀山選手にとっては新しい環境の中で、本人にとって苦しいレースウィークであったと想像しています。これまで乗っていたマシン、特にタイヤが違うのでその使い方については適応していく段階の中でのレースとなり、思う様に走れなかったのではないでしょうか。しかしながら、予選、決勝2レースを通じて着実に、しかも大きくステップアップする事が出来ましたので、次戦に関しては全く心配しておりません。
2週間後の次戦鈴鹿では、マシンもライダーもレベルをワンステップアップしレースを迎え皆さんに良いレースを見て貰えると思います。ファクトリー2チームとの差はまだありますが、ライダーとチームと、一体となって差を詰めていきたいと思います。

最後になりますが、昨シーズンライバルとして鎬を削り先日テスト中の事故で他界された近藤湧也選手の訃報に接し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

JSB1000決勝 レース1正式結果



順位 ライダー チーム マシン タイム
1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 41’37.972
2 高橋 巧 Team HRC CBR1000RR SP2 +0.829
3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 +16.212
4

渡辺 一樹

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +25.868
 
8

加賀山 就臣

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +54.017

JSB1000決勝 レース2正式結果

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 41’36.963
2 高橋 巧 Team HRC CBR1000RR SP2 +0.113
3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 +11.567
4

渡辺 一樹

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +30.04
 
7

加賀山 就臣

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +38.814

JSB1000公式予選1

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 1’46.878
2 高橋 巧 Team HRC CBR1000RR SP2 +0.177
3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 +0.561
4

渡辺 一樹

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +1.393
 
6

加賀山 就臣

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +1.737

JSB1000公式予選2

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 1’47.047
2 高橋 巧 Team HRC CBR1000RR SP2 +0.025
3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YZF-R1 +0.734
4

渡辺 一樹

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +1.309
 
6

加賀山 就臣

ヨシムラスズキMOTUL GSX-R1000R +1.695

JSB1000ポイントランキング

順位 ライダー チーム ポイント
1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 50P
2 高橋 巧 Team HRC 44P
3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 40P
4 渡辺 一樹 ヨシムラスズキMOTUL 36P
5 渡辺 一馬 Kawasaki Team GREEN 32P
6 水野 涼 MuSASHi RT HARC-PRO.Honda 30P
7 加賀山 就臣 ヨシムラスズキMOTUL 27P
8 秋吉 耕佑 au・テルルMotoUP RT 27P
9 Zaqhwan Zaidi Honda Asia-Dream Racing with SHOWA 24P
10 岩戸 亮介 Kawasaki Team GREEN 22P

×